のら印BLOG

野良猫のように街を探索し、楽しさを発見するブログ

街歩き

千林商店街にある旧京阪本線停留所跡と強頸絶間・大阪市旭区

「日本一安い」とよく耳にする千林商店街を訪ねて、京阪本線の千林駅に来ました。 千林の南隣の駅は、森小路(もりしょうじ)。 千林駅は、戦前に改称されるまでは「森小路千林駅」と呼ばれており、二つの駅の関係は面白そうです。 アーチが連なる西口を出る…

七瀬川という小さな川の行方・異形の大岩神社から子守唄の里へ

夏に訪問した京都市伏見区にある大岩神社を、冬にも再訪してみました。 今回は、この異彩を放つ神社から流れ出す小さな川を、辿ってみたいと思います。 まだ、紅葉が残っていた師走の大岩神社参道入口。 右手に、小川が流れています。 これが、今回探索して…

旧高瀬川の終着点と三栖閘門・京都市伏見区

前回訪問した大阪の毛馬閘門(こうもん)が面白かったので、今回は京都市伏見区にある三栖閘門を目指します。 ここは、伏見城の外堀であった濠川に架かる大手橋。 伏見は酒処なので、橋の向こう側には「富翁」の蔵が見えます。 橋の上流には、「月桂冠」の昭…

新旧淀川の分流点に残された近代化遺産・大阪毛馬

今回は、今の淀川と旧淀川(大川)が分流する地点である毛馬へ行こうと、天神橋筋に来ました。 ここは、天神橋筋の8丁目。 日本一長い商店街と言われる天神橋筋商店街のアーケードは、1丁目から6丁目まででおしまい。 8丁目まで来ると、「ふれあいの街」…

日米和親条約調印の地から旧居留地を歩く・横浜市

横浜大さん橋近くの開港広場公園に、球状の「日米和親条約調印の碑」があります。 幕末にアメリカからペリーが来航し、鎖国を終わらせたのが1854(嘉永7)年。 その後、日本は激動の時代に突入し、明治維新を迎えることになりました。 広場の奥には、白…

開港場だった関内に残る壮麗な建築群・横浜市

横浜の旧居留地を歩いてみようと、「馬車道駅」に来ました。 馬車道は、開港後に外国人たちが馬車で往来した、港から続く開港場内の道です。 当時、外国人たちは居住範囲を制限されましたが、居留地を含む開港場エリアが関内と呼ばれていたようです。 駅前を…

東方正教会の大聖堂から古書の街へ・千代田区

JR御茶ノ水駅を降りると、すぐに行き当たる強烈な存在感の教会堂。 日本では珍しい、ビザンチン様式の「ニコライ堂」です。 こちらは、古くに西のカトリック教会と分かれた、東方正教会の聖堂。 ギリシアやスラブ圏などを経て伝わっているので、エキゾチッ…

日本道路網の起点と風格ある建築群・東京日本橋

時には首都圏の近代建築を眺めてみようと思い、東京駅に来てみました。 八重洲地下街を抜けて地上に出ると、中央分離帯にヤン・ヨーステン記念碑。 関ケ原の戦いの年に、リーフデ号で漂着し、徳川家康に取り立てられたオランダ人「やようす」さん。 この地が…

「うずらの里」深草と謎のキリシタン遺物・京都市伏見区

今回のスタート地点は、京阪電鉄の龍谷大前深草駅東口。 以前は、「深草駅」でしたが、5年前から近くの大学名を冠しています。 駅前には、鴨川運河とも呼ばれる琵琶湖疎水。 上流を眺めると、二つ向こうの橋が、朱い色をしています。 あれは、伏見稲荷大社…

源氏物語と茶師の街で建築を巡る・宇治市

京都府宇治市にある京阪宇治駅に来ました。 駅構内は、たくさんの円形が重なり合う楽しいデザイン。 南海特急「ラピート」をデザインした若林広幸による設計で、1996年に竣工しています。 外観にも、5つの切妻屋根の下に、連続するサークル。 駅横にも…

下町情緒を残す商店街と頓挫した古代の大工事跡・美章園から天王寺へ

大阪市阿倍野区にある、JR阪和線の「美章園」駅。 華やかな名前の駅には、 大戦末期の空襲により駅で亡くなった多くの犠牲者を弔う、「遭難供養之碑」があります。 (Wikipedia「美章園駅」より) 被災直後の写真では、すでに阪和線のこの区間が高架になっ…

西本願寺境内に残る明治前期の学舎群・龍谷大学大宮学舎

京都市下京区にある、広い堀川通に面した西本願寺。 浄土真宗本願寺派の本山である、大きな寺院です。 門前には、底にまで石が組まれた堀があり、いくつもの石橋が架かります。 北端から見ていくと、まずは太鼓楼。 立派な太鼓楼ですが、幕末には新選組が2…

レトロな七条通から妖怪のいる本願寺伝道院へ・京都市下京区

京都駅のすぐ北にある、烏丸七条の交差点に来ました。 東西に走るのは、七条通。 京言葉では、「しちじょう」と言わず、「ひちじょう」もしくは「ひっちょう」と発音します。 この通りには、1877(明治10)年に開業した京都駅の駅前でもあるため、レト…

最古の花街に残る揚屋建築と泰山タイル・京都島原

京都市下京区にある、大宮花屋町の交差点。 大宮通の左手に続くのは、西本願寺です。 交差する花屋町通を西に入ると、 すぐに左手に細い路地。 この奥では、元新選組隊士で箱館戦争をも生き延びた島田魁が、維新後に西本願寺の夜間警備をしながら暮らしてい…

和洋織り交ぜた城下町でウクライナ料理・彦根市

琵琶湖の東岸にある、滋賀県彦根市へ来ました。 街の中心には、国宝の天守を戴く井伊家の彦根城。 全国で国宝に指定されてされている、5つの天守の一つです。 大手門に続く京橋。 その前には、江戸時代の建築を再現したお店が並ぶ、夢京橋キャッスルロード…

平安京に開削された古い人工河川を辿る・京都堀川

京都市を南北に流れる、平安京造営時に開削された運河であった堀川。 平安時代には、都への物資搬入や、庭園への水の引込などに用いられていたようです。 今回は、有数の古い人工河川である堀川の、現在の姿を辿ろうと思います。 堀川紫明の交差点からスター…

絹で栄えた西陣と奇妙な名和長年遺蹟・大宮通を歩く

今回は、京都の町を南北に貫く通りの一つ、大宮通を北から歩いてみようと思います。 北山大宮の交差点。 ここから南に向けて、新大宮通沿いの「新大宮商店街」が始まります。 角には、古い木造家屋を活用した「サーカスコーヒー」。 この辺りは、昭和の建物…

日野の里から山中にある鴨長明方丈跡へ・京都市伏見区

京都市伏見区の東部にある、京都市営地下鉄「石田」駅前に来ました。 駅名やこの付近の地名は「いしだ」ですが、 すぐ南東にある、こちらは「いわたの杜」と呼ばれ、万葉集の歌枕にも使われている古い杜らしい。 歴史的には、「いしだ」ではなく「いわた」だ…

日本で最も複雑な地下街で化石探し・大阪梅田

今回は、ちょっと涼しい街歩きをしようと、大阪の梅田に来ました。 空調の効いた地下街で、壁や床面に潜む化石を探してみようという趣向です。 「化石」と聞くと、なぜか心がワクワクしてしまうのは、自分だけでしょうか。 実際の化石発掘は何度か経験しまし…

旧東海道線廃線跡を辿り大岩神社の異世界へ・京都市

京都市の山科区小野を通る名神高速道路脇に、「日本で最初の高速道路 名神起工の地と旧東海道線山科駅跡」があります。 この地で日本初の高速道路建設が始められたのは、1958(昭和33)年のこと。 旧東海道線の廃線跡が活用できるため、旧山科駅跡から…

城とよばれた山科本願寺の寺内町を歩く② 内寺内・外寺内・南殿エリア

京都市山科区には、遠く戦国の時代に、要塞化された山科本願寺がありました。 前回はその寺内町のうち、城で言うと本丸にあたる「御本寺」エリアで、当時の痕跡をたどりました。 norajirushi.hatenablog.com 今回は、その周囲にあった「内寺内(うちじない)…

城とよばれた山科本願寺の寺内町を歩く① 御本寺エリア

京都市山科区には、戦国時代に「城」とよばれた山科本願寺がありました。 今回は、公家の日記にも「荘厳ただ仏国のごとし」と記録されながら、焼き討ちにより一夜にして消滅した寺内町の跡を歩きます。 渋谷西野道のT字路に、古い道標が立っています。 「右…

雑喉場魚市跡と戦災の傷跡が残る堂島大橋・大阪市

大阪メトロ中央線の阿波座駅から少し西へ歩くと、木津川の手前に「舊大阪府廳」の石柱が立っています。 ここは、1874(明治7)年に2代目大阪府庁舎がおかれた江之子島。 当時の庁舎は、中央にドームのある壮麗な洋風建築で、「江之子島政府」と呼ばれ…

日本最古の「つるのはし」跡から鶴橋商店街の迷宮へ・大阪市生野区

古代より渡来人との関りが深い、大阪市生野区へ来ました。 降りた駅は、JR大阪環状線の「桃谷」。 今日の目的地である「鶴橋」の、1つ南の駅になります。 桃谷駅前からは、東へアーケード商店街が続いています。 右手には串カツ屋さん、左手にはたこ焼き…

旧陸軍火薬製造所分工場跡と奈良街道・宇治市木幡周辺

前回は、京都府宇治市の黄檗周辺にある、旧陸軍の火薬庫や火薬製造所跡を訪ねました。 今回は、北隣の木幡周辺を歩いてみます。 JR木幡駅です。 駅周辺には、宇治陵と呼ばれる、平安期に栄華を極めた藤原北家の陵墓が点在しています。 写真は、その総遥拝…

旧陸軍の火薬製造所跡と移転させられた許波多神社・宇治市黄檗

京都府宇治市の「黄檗(おうばく)」に来ました。 宇治では、京都と滋賀の府県境で旧東海道から分岐した奈良街道が、市域を南北に貫いています。 手前の奈良街道沿いの十字路に、上部に仏像を彫りんこんだ仏道標。 隣には、大正9年に設置された「宇治村道路…

安治川開削で分割された九条島と河底トンネル・九条から西九条へ

前回から、大阪市西区の九条に来ています。 大阪メトロの九条駅から、戦前には「西の心斎橋」と呼ばれた九条商店街を、西に抜けてきました。 ところで、大阪には三条や四条がないのに、どうして「九条」という町があるのでしょうか。 諸説ありますが、大川(…

脇道に風情を残すかつての「西の心斎橋」・九条商店街

大阪市西区に、九条という町があります。 地下鉄なのに地上高くを走る大阪メトロ中央線で、「九条駅」に来ました。 駅の東西どちらにも商店街のアーケードが見えますが、まずは東側から。 「ナインモール九条」のアーケード西口があります。 メタリックで、…

明治に拓かれた文化ゾーンと八ッ橋発祥の地・左京区岡崎界隈

左京区の岡崎は、今の京都で観光地として賑わっている場所のひとつです。 しかし、東京遷都後の明治初期には、「狐狸の棲処(こりのすみか)」と呼ばれるほどに、田畑ばかりが広がる地域でした。 南禅寺の中を通る、美しい煉瓦造の水路閣。 京都を近代化する…

埋め立てられた蜆川と堂島界隈・大阪市北区

あいにくの天候ですが、JR大阪駅前に来ました。 万博会場シャトルバスターミナルの建設が、始まっているようです。 広い曽根崎通と四ツ橋筋が交差する「桜橋」交差点。 曽根崎通の南側は、江戸時代には全国から米が運び込まれ、諸藩の蔵屋敷が建ち並んだ「…