のら印BLOG

野良猫のように街を探索し、楽しさを発見するブログ

2025-01-01から1年間の記事一覧

京都御苑に隣あう煉瓦建築群①・同志社大学今出川キャンパス

烏丸今出川交差点から東を望むと、右手に京都御苑の森が広がっています。 左手に見えるのは、一部の塀を和風にしている同志社大学。 江戸時代までの公家屋敷は、御苑の中だけでなく、今出川通の北側にも並んでいました。 今も、あの歌聖・藤原定家の子孫であ…

京都大学はレトロ建築の陳列場③・医学部構内と吉田南構内

前々回より、京都大学のレトロ建築を訪ね歩いています。 今回は、鴨川畔から東に向かう近衛通からのスタート。 正面に見えるのは、五山送り火で知られる大文字山。 すぐ右手には、新しい学舎の裏手に、古い煉瓦造の建物があります。 現在は、京都大学東南ア…

京都大学はレトロ建築の陳列場②・北部構内とスパニッシュ様式の研究所

前回から、京都大学構内のレトロ建築を巡っています。 今回は、今出川通を越えて、北部構内へ。 緑豊かな並木道を北に歩くと、 極端に細い瓦屋根を戴いた、横に長い珍しい形状のゲートをくぐります。 これが、1924(大正13)年に竣工した農学部表門。 …

京都大学はレトロ建築の陳列場①・本部構内を歩く

京都の鴨川に架かる荒神橋。 荒神口から洛外へ出て近江に至る志賀越道は、ここからスタートしています。 対岸に渡り、鴨川沿いの川端通を少し北へ行くと、たばこ店の角から志賀越道が北東へと伸びています。 細くて緩やかにカーブしている道が、いかにも旧街…

京都最古の喫茶店と大きな石仏のある旧街道・出町柳から志賀越道へ

ここは、加茂川と高野川が合流して鴨川となる地点の東側。 駅舎の前に柳が植えられた、京阪出町柳駅があります。 よく誤解されますが、この駅がある場所は「出町」ではありません。 洛中から洛外への出口であった「出町」は、鴨川の西岸。 ここは、東岸にあ…

内裏跡の老舗油店と御土居をこえ洛外へと続く道・下立売通

前々回より、京都の東西の通りのうち、かつて店舗をもたない立売商人で賑わった通りを歩いています。 上立売通、中立売通りに続き、今回は最後の下立売通を辿ります。 下立売通は、左に見える御苑の西側から始まります。 角には、いつ見ても存在感のあるゴシ…

御所と聚楽第を一本に結ぶ道とN電の遺構・中立売通を歩く

京都には、かつて店舗を持たない立売商人で賑わった東西の通りが、三本あります。 北から順番に、上立売通、中立売通、下立売通。 前回は上立売通を辿ったので、今回は中立売通を歩きます。 もともと平安京の正親町(おうぎまち)小路であった通りは、御苑の…

将軍邸裏にあった立売の辻と西陣を横断する上立売通・京都市上京区

京都市上京区の寺町今出川交差点に、「慶應四辰年」と刻まれた大原口道標があります。 ここから、南北の通りである寺町通を少し北へ。 本満寺を過ぎたところから、西に向けて一本の道が始まります。 ここが、今回歩く上立売通のスタート地点。 通りは、室町…

外海にある潜伏キリシタン集落とドロ壁の教会堂・長崎市

長崎市の北西部にある、五島灘に面した外海(そとめ)と呼ばれる地域に来ました。 ここは、遠藤周作の小説『沈黙』の舞台にもなった、潜伏キリシタンの集落があるところです。 青い海の向こうには、見えてはいませんが、やはり多くの潜伏キリシタンが暮らし…

石畳の旧居留地洋館群と大浦天主堂・長崎市

前回訪問した長崎にある唐人屋敷から、南西に坂を登ります。 長崎は、石畳の坂と、石碑と、そして猫の街。 何しに来たの、と猫さんが問いかけてきます。 こちらは、C・M・ウィリアムズ宣教師館跡。 ウィリアムズは、幕末に来日した米国人宣教師で、この地に…

出島から唐人屋敷へ・鎖国日本の窓としての長崎

長崎市江戸町のかつて県庁があった辺りに、「南蛮船来航の波止場跡」の碑があります。 戦国時代のこの場所は、長い岬の先端にある波止場になっていて、ポルトガル船が来航していたらしい。 少し東には、日本にキリスト教を伝えたイエズス会の本部跡もありま…

旧浦上天主堂遺構と潜伏時代のキリシタン墓碑・長崎市

かつて鎖国が行われた時代に、唯一海外に開かれた港町であった長崎市に来ました。 ここは、言わずと知れた坂の街。 長崎駅から少し東にある石段を登ると、 丘の上に日本二十六聖人記念館があります。 西坂の丘は、戦国以来のキリスト教を警戒した豊臣秀吉が…

祇園祭を支える鉾町と町衆の豊かさを映し出す旧校舎・京都新町通

前回から、京都市を南北に貫く新町通を南へ歩いています。 今回のスタート地点である新町通御池の交差点は、祇園祭の巡行のさい、山鉾の辻回しが行われる場所。 広い御池通から正面に見える狭い新町通に、大きな山や鉾が直角に曲がって入って行くのですから…

「新しくはない新町通」でレトロを感じて歩く・京都市

京都市上京区の区役所前に、安政5年に建てられた道標があります。 その東面には、「右 上かも」とあります。 区役所横を通るのは、上賀茂から南へ伸びる新町通。 「新町」というと新しい通りのように聞こえますが、元は平安京の町尻小路なので、歴史のある…

英国客船の船材を用いた洋館と始皇帝が祭神の神社・京都市太秦

前回からの続きで、もう少し京都市右京区の太秦を歩きます。 広隆寺楼門前の三条通では、路面を走る嵐電。 この太秦交差点を少し南に歩くと、ちょっと珍しい洋館に出合うことができます。 和調の出世地蔵の背後に見える、この洋館。 正面から見ると、木の柱…

撮影所ゆかりの商店街と住宅街に残る巨石遺構・京都市太秦

京都市右京区にある、京福電鉄帷子ノ辻駅に来ました。 通称嵐電(らんでん)の嵐山本線と北野線の接続駅ですが、「帷子ノ辻」は京都難読地名の代表格の一つ。 「かたびらのつじ」と読みますが、地名の由来は興味深いけれどもちょっと怖いので、他で調べてく…

日本初の田園都市と即位礼饗宴場を遺す真宗寺院・吹田市千里山

大阪府吹田市にある阪急千里山駅で降り、西側の丘陵を少し登ると、千里山第一噴水があります。 丸い噴水の真ん中には美しい彫刻があり、てっぺんには勢いよく水を放つ小便小僧。 このロータリーを中心として、千里山の丘陵上には放射状に道が整備され、ゆっ…

幕末に由来する家具の街と八端十字架の教会堂・京都夷川通

鴨川の二条大橋上流に、夷川(えびすがわ)飛び石があります。 ここには、昭和初期の洪水で流されるまでは、夷川橋が架かっていました。 少し大股で跳びながら、石伝いに鴨川を渡ります。 鴨川を越えると、今度はすぐに狭いみそそぎ川。 この下流にある木屋…

海と山に挟まれた斜面の街で洋館を巡る・垂水区塩屋

JR塩屋駅は、海と山に挟まれた神戸の街でも、とりわけ山が迫る場所にあります。 後ろに見えているのは、須磨浦ロープウェイがある鉢伏山。 塩屋は、紀淡灘に面した斜面の街であるため、美しい眺望を楽しめる街でもあるようです。 駅を山側に出ると、いきな…

「大大阪時代」を垣間見る街歩き・中央公会堂から府庁舎本館へ

大阪市中心部にある、美しい中州の中之島。 土佐堀川の向こうに、1918(大正7)年に建てられた大阪市中央公会堂が見えます。 赤煉瓦に白い石の帯を配した外観は、いわゆる辰野式。 実施設計の段階で、東京駅も設計した辰野金吾の手が入っています。 正…

明智薮のある旧小栗栖街道を歩く・六地蔵から勧修寺へ

京都市伏見区桃山に、「六地蔵」交差点があります。 ここは隣接する宇治市に近く、豊臣秀吉の伏見城があった桃山の、ちょうど裏手にあたる場所。 近くに建つ道標には、「ひたり おうはく(黄檗) うち(宇治)道」と刻まれています。 別の面には、「みき 京…

旧淀川に面して並ぶ明治初期の遺構・大阪造幣局

今回は、八百八橋の大阪にあって、現存最古といわれる本町橋からスタート。 橋の西詰には、東横堀川に面して自家焙煎珈琲店があります。 1968年創業の濱田屋さんのお勧めは、窯出しシュークリームらしい。 店内の席からも、1913(大正2)年に架け替…

国際都市で南西アジアを感じる小さな旅・神戸市中央区

神戸三宮駅で降り、北野坂に来ました。 正面に見える山麓には、北野異人館街の象徴である「風見鶏の館」の塔屋が見えます。 異国情緒漂う洋風建築が建ち並び、中華街からも遠くないこの界隈で、今回は南アジアや中東の文化を感じてみたいと思います。 まずは…

京都最古の木造建築から醍醐水を求めて山を登る・醍醐寺

京都市営地下鉄東西線の小野駅近くを通る醍醐街道に、「葛籠尻の小町カヤ」と呼ばれる古木が残っています。 小町とは、世界三大美人に数えられる平安期の女流歌人・小野小町。 この木は、小町のもとへ百夜通いを続けた深草少将が、百夜の前日に世を去ったこ…

大阪城に残る陸軍の遺構と上町台地・大阪市中央区

大阪環状線の森ノ宮駅から、大阪城公園に来ました。 あいにくの曇り空ですが、大阪城の周辺を歩きます。 歩き出す前に、森の中のオープンカフェでパンをいただこうと思ったら、なんとも人慣れしたスズメさん。 一羽と仲良くしていると、どんどん仲間が寄って…

道頓堀芝居小屋の名残と心斎橋のヴォーリズ建築・大阪市中央区

大阪市中央区の道頓堀に来ました。 道頓堀川は、江戸初期に安井道頓・道卜(どうぼく)らによって開かれた運河。 開削後から、右手の南岸には、大坂中の芝居小屋が集められました。 その多くの姿を今見ることはできませんが、浪花五座といわれた代表的な芝居…

天保山台場跡から天空のなみはや大橋を徒歩で渡る・大阪市

大阪メトロで、港区にある大阪港駅に来ました。 ここは安治川の河口に位置し、江戸後期から明治にかけて生み出された、築港と呼ばれる人工の島。 大阪万博が開催される少し西の夢洲とは、大阪メトロで繋がっています。 駅から少し西へ行くと、レトロな旧商船…

くらわんか舟の宿場町と信長に焼かれた寺内町跡・枚方市

京阪本線枚方市駅を出ると、すぐ前に文政九年と刻まれた道標が立っています。 表の面には「右 大坂みち」とあり、豊臣秀吉が整備した京街道の道標になります。 ここは、江戸幕府が設けた東海道五十三次の延長ルート、五十七次の「枚方宿」が置かれていた町。…

楠葉台場跡と刻が止まったような京街道の町・橋本駅周辺

京都府八幡市にある、京阪本線橋本駅に来ました。 小さな駅舎を出たところには、錆びついた鉄製の火の見櫓が建っています。 でも、駅改札の真ん前に屹立する火の見櫓なんて、これまで見たことがありません。 いきなり、ちょっと不思議な町に来たことを、実感…

桂川の畔にある魚市場跡と旧幕府軍潰走の痕・鳥羽街道を南へ

前回より、平安京の玄関口であった羅城門址から出発し、旧千本通を南行しています。 この道は、平安京の造営時に淀から資材を運ぶための「鳥羽作り道」として開かれ、その後は「鳥羽街道」とも呼ばれている古い道。 今回は、その途中にある、「赤池」という…