国際色の豊かさがみなぎる港町神戸に来ました。
阪神電鉄神戸三宮駅と春日野道駅のあいだに、旧西国街道の石碑があります。
ここから今回はスタートします。
石碑のすぐ前に、黄色い良く目立つ「大安亭(おおやすてい)市場」の看板があります。
市場のアーケードは、JRと阪急の二つの高架が並ぶあたりまで続く南北約250m。
「大安亭」とは、明治にあった浪花節小屋の名前のようです。
入ってすぐ右手の精肉店。
朝一番の訪問でしたが、「和牛あごすじ」、「和牛バサ(肺の神戸での呼び方)」、「ボイルアキレス」と、ディープ感のある部位がたっぷり並んでいます。
イスラム教徒が食べることを許されているハラルフードのお店。
珍しいスパイス類が並びます。
韓国食材店では、オモニの姿をしたボードが、「ごまの葉入荷しました」と教えてくれました。
青果店や荒物店。
くじらを扱う魚屋さんもあります。
神戸の台所とよばれる東山商店街と、良く似ていますね。
商品の豊富な果物店。
アボカド4個で150円は安い。
もう1軒、ハラルフードのお店がありました。
同じ商店街の中に2軒もあるとは。
イスラム系住民の多さを感じます。
看板には、「百余年の歴史を持つ市場」と書かれています。
明治6~8年の生田川付け替え工事とともにできたようですから、百余年どころか150年近くになるのではないでしょうか。
長く、元気に続いている商店街ですね。
大安亭市場の北側には、鉄道の高架。
一つのように見えますが、JRと阪急の二つの鉄道が通っています。
高架下には串カツ屋さん。
ホルモンの串カツが売られているのを、初めて見ました。
広い国体道路まで進み、西へ歩いていくと、大きなハラルレストランも。
1800円で、パキスタン料理などの食べ放題もやっているようです。
神戸は、山と海にはさまれた町。
右手に山を見ながら西に進み、裏滝道との交差で左に曲がると、
旧神戸ユニオン教会。
キリスト教の伝道者でもあったW.M.ヴォーリズが手掛け、1929(昭和4)年に竣工した鉄筋コンクリート造の建築です。
阪神・淡路大震災後に、日本にドイツパンを広めた老舗ベーカリーのフロインドリーブが買い取り、修復のうえ、現在はジャーマンベーカリーとカフェのお店になっています。
ゴシック様式が用いられており、尖頭アーチや、控え壁(バットレス)が見られます。
礼拝堂の正面。
中央に塔屋。
右手は牧師館。
落ち着いたたたずまいのエントランス。
エントランス上部の二つの丸い意匠は、十字架をデザインしたものでしょうか。
カフェとして使われている、2階の礼拝堂。
天井部分は神戸大空襲で焼失し、戦後に修復されたそうです。
祭壇上部の採光部。
尖頭アーチ窓の最上部が天使のように見えるのも、ヴォーリズらしい遊び心でしょうか。
礼拝堂後方のステンドグラス。
カフェでは、モーニングセットをいただきました。
トイレのドアには、ヴォーリズの大好きなクリスタルノブがありました。
秀逸だったのが、個性的なアールをつけた階段手すり。
等間隔で小さな突起物がついているのは、高齢者へのいたわりなのかも知れません。
中庭への通路。
中庭から見た、牧師館と塔屋の裏側。
暖炉の煙突も見えました。
鉄扉にも、十字架のデザイン。
少し傷んでいましたが、定礎は竣工前年の1928年でした。
旧神戸ユニオン教会を後にして、長田楠日尾線をこえ、パールストリートを西に進みます。
トアロードとの交差の少し手前に、異国情緒ただよう建築がありました。
神戸ムスリムモスク。
1935(昭和10)年竣工の、日本で最初のイスラム寺院です。
鉄筋コンクリート造で、設計はチェコ出身の建築家ヤン・ヨセフ・スワガー。
カトリック山手教会や聖路加国際病院など、主にキリスト教関係の設計をした人です。
この建物は堅牢で、神戸大空襲や阪神・淡路大震災でも崩落することなく、被災者を受け入れてきたようでした。
屋上には、モスクには欠かせない尖塔(ミナレット)が3本。
側面からは、大きなドームが見えます。
エントランスの装飾。
八芒星がたくさんデザイン化されていました。
内部も見学させていただきました。
中央に、メッカの方角を示すミフラーブとよばれる窪みがあります。
その右側には、1日5回のお祈りの時間が、電光掲示されるようになっていました。
後から外に出て裏側を見ると、ミフラーブの窪みの部分は、外につき出る構造でした。
見学させていただいた時間の後には、金曜の特別な礼拝があるとのこと。
帰りには、続々とムスリムの人たちが、徒歩やバスや自転車でモスクに集まってくるのに出くわしました。
近隣に、ハラルフードのお店や、ハラルレストランがたくさんある理由が、良くわかったように思います。
せっかくなので、モスクと同じ並びにあるトルコ料理店・神戸シャワルマで、ケバブサンドをいただいて帰りました。
神戸の街ならではの、楽しくエキゾチックな街歩きができた、良い1日でした。