東口を出ると、駅に面したところから、もう岡町商店街が始まっています。
背後から神社のクスノキが、覆いかぶさるように伸びています。
商店街のすぐ横には、ユニークな形状の石碑。
基壇部には、「江戸時代の町場 岡町」と記されています。
説明文によると、原田神社の門前町である岡町は、能勢街道と伊丹街道が交わる交通の要衝であり、江戸時代には大坂町奉行所直轄の町場となって、商業の町として賑わったようです。
おはこまんじゅうのお店や、
懐かしい「ねじりんぼう」のある理髪店、そのむこうにはジャズ喫茶。
すぐに岡町商店街のアーケード入口。
豊中市役所につながる通りのようです。
人が多く、活気のある商店街ではないですか。
はいってすぐ右手にある、御菓子司・亀甲堂さん。
暑い日だったので、ほうじ茶のアイス最中をいただきました。
ほうじ茶の自然な香りが漂い、おいしい。
創業は80年ちかく前とのこと。
戦後すぐから、営業されているのでしょうか。
割烹料理の鈴乃家さん。
こちらの寿司定食800円も魅力的。
しかし、上の貼り紙を見て、んっ!!
完売していましたが、「どじょう寿し」という商品があるようです。
初めて聞きましたが、一度味わってみたいものですね。
「高級果実専門店」がほの暗いのも、古い商店街あるある。
でも、目の前で、大きなスイカを買って行くお客さんも。
休憩中でしたが、古書店は手塚治虫資料室も兼ねているようです。
鉄腕アトムが、たくさんの商品に埋もれていました。
こちらは、商店街で最も古いと思われるお店、めん処土手嘉(どてか)さん。
店の前が、旧街道の交差点になっています。
左の道が、今通ってきた岡町商店街。
この旧街道の交差点を起点として、左奥の方角へ伊丹街道として伸びています。
右の道も岡町商店街ですが、こちらは上方落語「池田の猪買い」で知られる能勢街道。
能勢街道を、少し北へ進みます。
御菓子・赤飯・餅の竹寅堂。
ショーケースには商品があまり見えませんが、地元のお客さんは気にせず注文していました。
パチンコ屋さんのシャッターが下りています。
他の古い商店街では、個人商店のシャッターが閉まり、パチンコ屋さんだけが営業している光景を目にしますが、ここではその反対。
個人商店が入れ替わりながら元気に存続しているのが、この商店街の特徴のようです。チェーン店もあまり見かけません。
岡町商店街の北口には、能勢街道の道標がありました。
もう一度、街道の交差点にもどります。
めん処・土手嘉(どてか)さん。
創業は1826(文政9)年ということですから、約200年前。
現在のご主人が8代目、息子さんで9代目だそうです。
大阪で、最も古いうどん屋さんかも知れません。
現在の建物は昭和元年からのようですが、間違いなくこの場所で、江戸時代の町場を受けついできたようです。
開店10分後に一度入店しましたが、すでに満席だったので、時間を空けて入り直しました。
店内は広いのですが、席が空いた入口付近だけを撮りました。
うどん屋さんですが、中華そばと寿司のセット(1000円)をいただきました。
中華そばは、求めていた上品だけれどもしっかりと芯のある味。
とろけるようなチャーシューがうまい。
まろやかな酢でしめたバッテラも、とても美味しい。
どれも、とてもていねいに作っておられるのが良くわかりました。
土手嘉の向かいには、お好み焼きのやまとや。
その右手には、原田神社の裏参道。
赤いのぼりが立ち、赤飯を売る屋台にお客さんが並んでいるのが見えます。
お好み焼き屋の左手には、先ほどの能勢街道が南へ伸びています。
こちらにも、まだ岡町商店街が続きます。
でも、最初のカープのところで振り返ると、吊るされた看板や路面のデザインが変わっています。
ここが、岡町商店街と桜塚商店街の境界のようです。
すぐに、桜塚碑がありました。
商店街の名前にもなっている桜塚とは、このあたりにあった古墳群の名前のようです。
その向かいには、原田神社の石鳥居があります。
社伝では、桜塚古墳群と同じ4~5世紀末頃の創建とされる、ものすごく古い神社。
最盛期には、現在の吹田市から尼崎市までの72ケ村を氏子としたようです。
しかし、壮麗な社殿は、1578(天正6)年に織田信長に対して荒木村重が反乱を起こしたさいに、焼き払われてしまったとのこと。
この社は、建立が焼失後すぐの桃山時代までさかのぼる可能性もあるようです。
いずれにせよ、江戸時代には復興をとげており、この神社の門前町として岡町は栄えてきました。
原田神社の門前を過ぎてしばらくすると、また分岐が現れました。
左側の道は、山田街道。
右側の能勢街道を、もう少し進みます。
蔵が残る家。
石段を10段ほど下がって入る古い路地も。
この大きな段差は、断層によるものでしょうか。
奥野家住宅とよばれる、元庄屋さんの屋敷もありました。
ふたたび、能勢街道と伊丹街道の分岐である土手嘉前に戻ります。
土手嘉前から南東を見ます。
右の道が、今往復してきた能勢街道。
左の道は、豊中市役所につながるもう一つの桜塚商店街です。
こちらを歩きます。
年季の入った味噌漬物店の看板。
現在は、違う商品を扱っているようです。
昔ながらのおもちゃ屋さん。
桜塚ショッピングセンターの入口。
ここで桜塚商店街はおわり、出口には稲荷大明神の祠。
古い商店街が、神社や祠とともにあるのは自然なことなのでしょう。
アーケードはなくなっても、商店街はまだ桜塚アルカスとして続きます。
毛糸屋さんの中から、イケメンのマネキン君がこちらを見ています。
ペルー家庭料理のお店もありました。
桜塚アルカスも、市役所前でおわり。
言い忘れていましたが、このコンパクトなエリアには、不思議なほどたくさんの喫茶店があります。
岡町歩きの締めとして、駅前のJAZZ喫茶モントレーさんで休憩。
40年以上続いているというお店は、ステンドグラスのある落ち着いた雰囲気でした。
江戸時代からの歴史をうけつぐ商店街は、決して派手さはないけれど、落ち着きの中にも地元に密着した活気が息づいていたように思います。
今日も、良い街歩きができました。