こんにちは、のら印です。
「〇〇の台所」とよばれる商店街があれば、行ってみたくなるのは自分だけでしょうか。
ということで、「神戸の台所」とよばれる東山商店街と、この商店街も含めて2つの商店街と2つの市場からなる神戸新鮮市場へ行ってきました。
2つの商店街とは、湊川商店街と東山商店街。
2つの市場とは、ハートフルみなとがわとマルシン市場。
以前は、これに湊川公設市場を前身とする「ミナイチ」も含めていましたが、残念ながら2019年に営業を終了しています。
まずは、神戸市営地下鉄西神・山手線の湊川公園駅へやってきました。
地上に出ると、湊川商店街の入口があります。
この商店街の構造は少しユニークです。
中央の広いアーケード商店街と並行して、左手に湊川パークタウンとよばれる2階建ての細長い商店街風ビルがあります。
このパークタウンも、湊川商店街に含まれているようです。
ちなみに、パークタウンの屋上部分は、隣接する広い湊川公園の一部になっています。
パークタウンの入口から入ることにしました。
最初に出迎えてくれるお店が、湊川大食堂。
この昔懐かしの居酒屋さんのような構えをしたお店は、よくコンセプトが練られているようです。
奥のほうまで続く深緑色の暖簾には、たくさんの屋号が書かれています。
このお店では、これらの神戸新鮮市場内にある各店舗から食材を調達し、調理して提供してくれるということです。
長い商店街の一番入口で、客の目に、舌に、それぞれの店舗の特徴を紹介をしてくれる。
商店街の情報発信基地のような役割を果たしているのでしょうか。
歴史ある商店街の活性化策として、とても優れているように思います。
貝出汁おでんの盛り合わせを注文してみました。
出汁をとっている貝は、暖簾に書かれている貝と淡水魚の専門店「七海水産」のもののようでした。
おいしいです。
並行する湊川商店街に出てみると、平日にもかかわらず、結構な人出で賑わっていました。
そして、広い直線の商店街は、長いパークタウンの端までくると左方向へ急に曲がります。
なんと、左に曲がりながら、坂を登っていくのです。
かなりの急勾配ですが、アーケードが途切れることはありません。
やはり神戸は坂の町。
商店街とて、坂を登るのは自然なことなのかもしれません。
急坂の途中に、ハートフルみなとがわの1階入口がありました。
でも坂の途中なので、2階に上がってから外へ出てみると、
出口の前にはやはり商店街。
市場を通り抜けるあいだに、1階分商店街を登っていたのですね。
ちなみに、こちらは冷えたミックジュースをミキサーで作ってだしてくれる、マルカジュースさん。
ガラスのコップ一杯で、110円。
おいしくいただきました。
話は前後しますが、ハートフルみなとがわは、1918(大正22)年に設立された湊川公設市場が前身です。
震災後に、今のような形の市場になったようです。
こちらでは、2階にある肉工房まるよしさんへ。
その場で焼いてもらえる、ホルモンとハートを注文しました。
どちらも1串100円と、ありがたいお店でした。
ハートフルみなとがわを出たあたりから、「神戸の台所」とよばれる東山商店街が始まります。
左手は、かつて市場・ミナイチがあったあたりです。
向かいの青果店では、安価な商品が豊富にならんでいて、地元の方々で賑わっていました。
ここでは、東山商店街のメインの通りに入るため、もう一本奥の通路に入ります。
通路の幅は少し幅がこれまでより狭くなり、ゆるやかに登っているようです。
ぐんと昭和感が増し、鮮魚店や青果店など生鮮食料品をあつかうお店が増えてきます。
どのお店も、通路に張り出すように、豊富に商品を並べています。
こちらは、今日最初にいただいた貝出汁おでんに貝を提供している七海水産です。
貝を専門に扱うお店は、少し珍しいのではないでしょうか。
神戸牛をあつかう精肉店もありました。
そのような中に、ひっそりと、長く営業されていそうなパン屋さんがありました。
金生堂さんです。
実はこのお店、全国的には「メロンパン」とよばれるあのパンを始められたお店のようです。
誰もが知っている、あの甘いビスケット生地をのせたまあるいパン。
1930年代に、先代のご兄弟が広島県にある呉支店で「サンライズ」の商品名で売り出され、この神戸本店でも販売されたようです。
メロンパンが、関西などで「サンライズ」とよばれている理由は、このあたりにありそうですね。
店内を見まわすと、ありました。
左にあるのが丸い「サンライズ」。
でも、その右には「メロンパン」と書かれた別のパンもありました。
神戸などで「メロンパン」とよばれるのは、アーモンド型で中には白あんが入っているパンなのです。
全国でいうメロンパンと、神戸でいうメロンパンが、並んで売られているのもおもしろい。
それにしても、店内のどこを見渡しても、発祥の店であるとの説明もPRもありません。
お店の方にうかがうと、「良く取材には来られるんですけどねえ」とほほ笑んでおられました。
この奥ゆかしさ、ちょっと小粋じゃありませんか。
さて、もう少しゆるやかな坂を進むと、一休みできる広場があります。
お年寄りも多く利用されるこの坂道の商店街。
一息つける場所は、欠かせないのでしょうね。
さらに進むと、黄と緑のテントの奥に、中に立つ人たちの足が見えます。
稲田串カツさんです。
こちらは、串カツの立ち食いができるお店。
入れるのは、一度に4人くらいのようです。
どんどん並べてくれる揚げたての串カツを、自分で勝手にとって、ソースに1度漬け。
料金は1本120円の均一で、串の数で事後清算するシステムです。
イカ串や牛串がうまい。
アルコールは置かれておらず、買い物帰りに、女性や子どもも気軽に利用できるお店のようでした。
食べ終わると、すぐ隣に、レモン水とひやしあめが各50円の鼻知場商店さんがあります。
ガラスコップになみなみと注がれた、冷たいレモン水をいただきました。
甘さの中に、生レモンの味がしっかりと出ています。
氷は、かき氷状のものなのでしょうか。
のどごしが、とても優しく感じました。
どこも、おいしくて、懐かしくて、安いものばかり。
本当に、この商店街は食べ歩き天国ですね。
ここをすぎると、新湊川の手前で東山商店街の北口に出ます。
長い商店街もこれで終わりかと思いきや、いやいやまだまだありました。
出口の横には、次なるマルシン市場の看板が。
この市場にも、食品を中心として、様々なお店が並んでいます。
こちらでは、おなかの仕上げに、淡水軒さんで餃子をいただくことにしました。
こちらは、元町高架通商店街(モトコー)の玄関口で50年以上営業されていた老舗。
耐震補強工事のため、昨年マルシン市場に移転してこられたそうです。
水餃子と焼き餃子を注文しました。
焼き餃子は、味噌だれでいただきます。
厚めのもちっとした皮に、味噌だれがからんで、なんともいえないおいしさ。
さすがに満腹です。
今日も、よく歩き、よく食べて、楽しい街歩きとなりました。