のら印BLOG

野良猫のように街を探索し、楽しさを発見するブログ

駅をつらぬく大樹と超レトロ商店街~寝屋川市萱島~

こんにちは、のら印です。

京阪電車に乗って、寝屋川市にある不思議な駅に来てみました。

寝屋川市駅のおとなり、萱島駅です。

2階のホームに降り立つと、目の前に大クスノキが。

ホーム下から伸びてきて、さらに上の天井を突き抜けています。

非日常的な、ちょっと楽しくなる光景。

大きな木を店内に取り込んだお店は、まれに見ることがありますが、駅でこのような姿は初めてです。

 

駅を出て、木が地面から生えているところを確認します。

ホームの下には神社がありました。

萱島神社です。

萱島流作新田」とよばれたこの一帯の鎮守として、1787(天明7)年に創建されたそうです。

この神社の御神木として大クスノキはそびえ立ち、2階のホームを突き破っていました。

1977(昭和52)年の萱島駅高架化工事のさいに、このような形状になったようです。

でも、このクスノキの樹齢は700年と言われていますから、神社ができるよりずっと前の鎌倉時代頃からあったことになります。

 

少し離れたところから見てみます。

川は、市の名前にもなっている寝屋川。

何とも面白い光景です。

萱島駅は、寝屋川をまたぐ鉄橋の上に建設され、1階部分に萱島神社があり、2階にはホーム。

そして、それらを貫いて大クスノキがそびえ立つ。

 

萱島という地名は、茅や葦の生い茂る寝屋川の中州からきているようです。

きっと、この大クスノキは、もともと河畔に生えていた木なのでしょう。

それが、あるときから御神木となり、またあるときから駅の一部となった。

700年間この地域の変化を見てきた巨木は、これからの社会の変容も、また何百年と眺め続けるのかも知れません。

 

萱島駅の西端には、旧街道の分岐点があります。

京阪電車と交差する左右の道が、四条畷につづく四條街道。

そして、この交差点を起点として淀川沿いの京街道に至る四十箇(しじゅうこ)街道です。

 

ここでは、四十箇街道に沿って、萱島駅の東端へ進みます。

お昼の時間だったので、駅からほど近い定食屋・根保家(ねぼけ)さんへ。

店内は、こんな感じ。

もともとは、お寿司屋さんだったようです。

うまく開店時間の12時すぎに入りましたが、すぐに満席となりました。

名物の煮魚定食。

刺身4品、赤魚の煮魚、イワシフライとサラダ、おでん盛り合わせ、きゅうりとオクラと昆布のあえもの、みそ汁、ごはん(おかわり自由)で750円。

驚くべきコスパの良さです。

どの料理も、優しい味でおいしい。

もっと驚くことは、お母さん一人ですべてを回しておられるのに、合間をぬってお店の由来などを笑顔で詳しく教えてくださったことでした。

店を出るときには、「煮魚定食終了しました」とホワイトボードに書かれていました。

 

根保家さんの少し北側に、萱島中央商店街があります。

アーケードはありません。

ちょっと覗いてみたくなる、楽しげな居酒屋もあります。

商店会の事務所のところを右に曲がり、少し進みます。

京阪トップ商店街の入口がありました。

長年の雨風を凌いできたトタン屋根も、かなりお疲れのようです。

入口の青果店のところから、万国旗がたくさん吊るされています。

加工はしていないのに、モノトーンぽい画像になりました。

お好み焼き店も、寿司屋も、洋品雑貨店も、みなシャッターが降りています。

アーケード商店街を魅惑的にする、この「うねり」は見事。

エバーソフトの黄色い看板に、マジックで「マルチカ屋 佐藤」と書き足してあります。

その奥には、「毎度ありがとう御座居ます」の横断幕。

あちこちに、かつての時代の空気感が残っているようです。

反対側の出口。

トップ商店街の中ほどにあるT字路。

萱島座商店街への分岐です。

こちらも、シャッター街が続きます。

片側は、すでに解体されたようで、更地になっています。

今ではなかなかお目にかかることのない、昭和の家庭用蛍光灯のような照明が続きます。

萱島座商店街の出口(入口)。

商店街の看板も失われたままになっています。

 

京阪トップ商店街と萱島座商店街。

時代のエアポケットにぽつんと取り残されているような、味わい深い商店街でした。

 

帰りには、萱島駅東端の近くにある珈琲店びぜんやさんで休憩。

鉄道の高架下を抜けて続く道は、四十箇(しじゅうこ)街道。

落ち着いた店内で、サイフォンで入れたコーヒーをいただきました。